「SATテクノロジー・ショーケース2017」異分野交流賞の受賞!


 1月31日産総研・「火山・活断層研究部門」・佐藤 稔 博士が上記タイトルを受賞いたしました。まずは受賞の賞状とつくばサイエンスアカデミー・江崎玲於奈会長から表彰状を受け取る写真をご覧ください。

佐藤さんは地質学が専門で、さらに土壌や岩石の空隙構造と物理的性質の関連を主に研究している若手研究者です。筑波大学で博士号取得後、産総研にてイノベーションスクール生として専門知識以外の研究者としての心構えに関する知識の習得と実践を1年間に渡って実施してきました。産総研の特別研究員という肩書で、給料をもらいながらの受講・実践の日々を過ごしてきました。受講の中には、自分の専門分野にのみ没頭することなく、興味を異分野に拡大しかつ貢献できるスキルの向上を目指す講義内容もありました。その成果を発表し、今回の受賞となりました。
中身は [SAT2017ポスター.pdf] の通りですが、栗原の第一農場で問題となっていた同じ品種でも植えた場所ごとに成長の度合いが大きく異なる点を、土壌の透水性とその構造的な違いから推定し、土壌改良への目安を示唆したことです。今までの日本におけるワイン用ブドウ栽培に新たな視点を提供したことはもちろんですが、土壌構造と土壌物性との関連を明らかにして、さらに改良の目安を示したことは新規性・着眼点・問題解決の観点からも今回高く評価されたものと考えられます。
彼の学部4年生からの受け入れ研究者として、修士・博士課程における共同研究者として今回の受賞は大変意義あるものと感じています。とりもなおさず、ブドウ畑における土壌改良の正しさを裏付ける研究内容は大変貴重です。CTを用いてブドウ粒の内部構造を観察するなど、ブドウ栽培へ役立つ情報の取得と理解そして実践への取り組みは今後とも挑戦していきたいと考えています。ブドウの成長に及ぼす因子は、もちろんこれだけではありませんが原因としての切り口の一端を明らかにしたことは価値があり、大変勇気づけられることです。

投稿者: Tsukuba Vineyard

「SATテクノロジー・ショーケース2017」異分野交流賞の受賞!」に3件のコメントがあります

    ノブ

    (2017年2月7日 - 12:42 AM)

    おめでとうございます
    こちらの、土壌A、土壌Bは、どちらも、何質の土壌なのでしょうか?
    石灰質、粘土質などでも、水はけは変わると思うのですが(もちろん、粒子の大きさでも、違うと思うのですが)

    たかはし まなぶ

    (2017年2月7日 - 6:49 AM)

    ノブさま
     土壌の専門家ではありませんが、知り得る範囲内でお答えいたします。土壌分類では火山灰を中心とした(ココでは関東ロームになります)黒ボク土に相当し、作土層(第四紀沖積層土、古鬼怒川の河川堆積物が中心)で平均粒径からすると0.2~0.002mmの細砂~シルトから構成される土です。残念ながら石灰質土壌ではありません。表土は腐植層ですが、場所によっては深度30cm以内で粘土層に達します。この情報から見てもブドウ栽培に優れた土壌という訳ではありません。水はけ(透水性)は土壌の空隙構造に主に依存しますので、同じ土壌内であっても場所ごとの違いは出ます。土壌の空隙構造は砂が多ければ大きく透水性も大きく、粘土が多いと一般的には透水性は小さくなります。ということでポスターの内容に戻りますが、生育の悪い箇所は砂がちでさらさらしています。生育のよいところはしっかりと握ると圧縮され固まるイメージです。次回、農場にてご確認ください。

    ノブ

    (2017年2月7日 - 2:32 PM)

    ありがとうございました
    もう少し、突っ込んだお話をしたいですが、次回、伺ったときに、直接、お話させてください

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