土壌中のデータ取得システムについて


私はつくばで小さなIT開発の会社を経営しています。2年程前に、高橋さんの葡萄畑で草刈りをさせてもらい、この葡萄畑に関りを持たせてもらいました。この葡萄畑には 、サイエンスシティらしくITを屈指し自然と調和がとれる新しい取り組みが似合うと思い、高橋さんに相談し土壌にIoTを利用したアイディアを説明し了解してもらいました。

今年7月から我々は、土壌センサー(土壌伝導率・土壌保水率・土壌温度の3点を計測できます。)を地中に埋めどうやってインターネットにそのデータを届ける事ができるのか?そこからこの計画が始まりました。センサーにはどうやらノードと呼ばれる装置が必要で、そのノードが土壌センサーから貰ったデータを地上に「ふわーっ」と邪魔にならない程度の強さで飛ばしてくれます。

その「ふわーっ」と地上に出てきたデータをどうやって回収するか?ということが問題です 。データと言っても電波ですからトランシーバのようなもので、送信機があれば受信機が必要です。しかもセンサーは数多くあるのです。いろいろなデータがふわーっと地上に漂いこれを回収するのにゲートという装置が必要です。多(センサー)対1(ゲート)の関係ですから、ゲートと言ってもそれなりに門番(センサーの種類や名前を名乗ってもらう)が必要です。そこで初めて電波がデータとして意味あるものに変換されゲートからSIMを使いTTN(※1)に届きデータがCayenneと呼ばれるアプリによりデータがマッピングされます。それだけでも十分ですが、データをもっと継続的に評価するためにグラフが必要と考え、TTNから我々のサーバにデータを転送し届いたデータを貯めて(データベース「infrux-DB」)、そのデータを加工しグラフに表示させるGrafanaというアプリを使いました。どんな雰囲気かは下の写真をみてください。また、実際のデータを観たい場合は、高橋さんに相談してください。

(Grafanaを使った土壌センサーから取得したデータをグラフで見えます)

通常はセンサーから携帯キャリアを使いインターネットに接続するのがセオリーでした。ところが農業先進国のオランダで2015年「LoRaWan(低電力サブギガヘルツ帯を利用した広域ネットワーク)」を使いアムステルダム全域をカバーする「The Things network(※1)」が誕生しました。

日本ではシーアールジャパン代表の吉田さんが2017年からTTN日本アンバサダーとなり普及活動を続けています。我々も吉田さんから多くの情報を頂きIoTとTTNに取り組んでいます。この誰もが自由に使えるTTN(日本では920MHz帯)は、今では世界中に広がり始め、あらゆるシーンで使われています。さらに近年では低軌道衛星の活用が注目されています。アマゾンも1900個もの低軌道衛星とLoRaWanを使いデリバリーシステムに活用するようです。例えば農業でいうならば、地域や作物ごとのデータを活用し効率的な収穫ができるように、また、天候データやその他の要因データも加え、相関関係が分析できるようになれば農地として有効活用ができる面積が狭い日本でも、オランダに負けないほどの農業生産効率を上げていくことも可能であると夢は広がる一方です。崖っぷちの高橋さんに追い風が吹き土の中から新たな便りが届けられるよう期待しています。

(有限会社電脳郷 代表 河合通之)

投稿者: Tsukuba Vineyard

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