葡萄粒の内部構造-マイクロフォーカスX線CTを用いた構造の解明


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撮影協力『テスコ株式会社』

本業は岩石の物性と岩石内空隙構造との解明を中心とした研究です。最近の研究では、物性としては岩石内の水などの流体の通りやすさを示す指標“透水係数”であり、空隙構造は空隙の3次元幾何学構造を中心とする内容です。岩石にはミクロン単位(1/1000mm)の空隙が無数に存在し、これらが連結し流体移動に大きく貢献しています。この空隙構造を分解能が5ミクロンのマイクロフォーカスX線CTを用いて取得したデータから、空隙の3次元幾何学情報を抽出しています。「第1回いばらきワインサミット」における講演内容に自己紹介代わりにこの内容のトピックスを載せてあります。X線CTは医療分野での活躍が久しいと思いますが、それ以外の分野でも多岐に渡り利用されています。岩石の空隙構造解明にも使われているぐらいですから、その普及度は大きなものがあります。

さて、本日はこのマイクロフォーカスX線CTを葡萄粒の内部構造見たさに用いてみました。X線CTは材質の密度構造を情報量にしていますので、ブドウの粒の中でも密度の異なりが観測されるのではないかとの期待を持って臨みました。一目瞭然です。上の画像をご覧ください。左側の3枚の画像は葡萄中心部の直交する3方向から切り取った場合の画像です。右側の画像は密度の違いを異なる色で表示して密度の違いを強調して表示しています。密度の違いといっても、正確にはキャリブレーションを行う必要がありますが、1.1から1.8程度と思われます。右側の画像で上部に分布している青色系が密度が低く、次に白色部分が少し高く、更に赤色と続き、黄色部分が最も密度が高い領域を示しています。皮の外側は空気なので、一番密度が低い領域となります。最も密度の高い領域は、黄色で表示される種の周りにある部分、2か所です。ブドウを食べたときに種の周りに果肉が付き、種だけを取り除くのが難しいことを思い出してください。皮の内側も少し密度が高くなっていますが、この画像では下部のみです。上部の皮の内側は青色、すなわち赤よりも密度が低いことを示しています。これはひょっとすると、葡萄粒に当たる太陽光の違いが影響している可能性があります。すなわち、太陽光に当たっている皮の内側により糖分が蓄積されて、反対側のあまり太陽光が当たらない部分との差異が明瞭になったのではないでしょうか?。密度が高いところは、糖分の多いことを意味し、糖度が高くなっていることを示しています。このブドウは北海道仁木町のナイアガラです。とても良い香りのする白ブドウでおなじみです。今回は大変面白いCT画像を早くお見せしたいという観点から、構造の違いに関する部分のみを速報としてお見せしています。今後、解析結果は改めてご報告いたします。

 

投稿者: Tsukuba Vineyard

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