土壌の違いーその1!


同じ地質・土壌であっても、ブドウ苗木の成長は様々です。定植後新梢が2mも伸びる木がある一方、30cm程度しか伸びない木もあります。このような成長の不揃いは何が規制しているのかを知ることは、今後の管理や新規の定植には重要な問題となります。第1農場は関東ローム層が堆積した台地を形成していますが、ローム層の下位には河成層の常総層が堆積し、凝灰質粘性土があります。場所によっては、特に低い場所に向かっては粘性土が浅い位置で出てくることになります。南側は道路の切土法面(高さ約2m)になっており、夏場は常に乾燥した状態を呈しています。この南側の道路から20m程度は草の繁茂も北側に比べると弱く、ブドウ苗木の成長も北側に植えたものと比べると幾分遅い感じがします。

そこで、その原因を調べるべく、北側と南側の土壌を同一深度から採取し、土壌診断、PHなどを調べることにしました。土壌診断は民間の会社に分析依頼していますので、結果が来た時点で改めてお知らせいたします。PHの比較は写真の通りで、北側と南側で優位な差はなく、両者ともPH6程度となりました。PH用の水溶液を作る段階でビーカー内を攪拌しますが、その後の時間経過に明瞭な差が現れました。向かって左側のビーカーが南側地点、右側が北側地点のものです。手前はPH用紙です。南側のビーカーは攪拌直後(写真1)から水溶液中の土粒子が沈殿をはじめ、1時間後(写真2)にはほぼ反対側が透けて見える程澄んできました。一方、北側のビーカーでは1時間経過後も土粒子の存在により濁りが消ることがありませんでした。

IMG_6346 (1024x768)IMG_6354 (1024x768)すなわち、南側の土壌には細かな土粒子(シルトや粘土)が少ないという状況が推定できます。極端なたとえですが、南側は砂を中心とした、そして北側はより細かな粒子の粘土やシルトを含んだ土壌という違いが存在することになります。当然のことながら南側の土地は保水性が極端に悪いことになります。食物の成長にとって砂地でも生育するものもありますが、一般的には砂地では成長が悪いことになります。高々20~30m程度の距離を置いて、土壌粒子の構成がこんなに異なるというのは意外でした。Final answerではありませんが、南側と北側の土壌粒子の構成サイズが異なることが成長の違いを出現させている可能性が考えられます。土壌診断の結果と合わせ、後日結論および今後の課題について述べたいと思います。

 

投稿者: Tsukuba Vineyard

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