雪の中のブドウ園


週の前半に北海道のブドウ園を訪れる機会がありました。千歳空港ではほとんど雪を見かけなかったので、安心してブドウ園に向かったものの、小樽・余市地域は長靴が埋まるほどの積雪となっていました。通常は札幌や岩見沢などが石狩低気圧という石狩湾内で発生する雪雲で積雪が多くなることが知られていましたが、11月の小樽・余市地域にこれだけの積雪があるのも珍しいとのことでした。一般的には北海道の根雪(雪が解けない状態のこと)は12月からということですが、今年はどうもこのまま根雪に入るのではという地元の人の声でした。

訪れたブドウ園は生食用の棚栽培を行っている農家さんですが、写真(1)にあるように棚下に黒いブドウの取り残しが見えています。キャンベルアーリーという品種ですが、収穫時期に取り忘れた、あるいは巻きひげにできる小さな房です。巻きひげにつく房は糖度があまり高くならないので、収穫作業から外すことが多いのですが、雪帽子をまとった黒ブドウの光景はなかなか貴重なものです。本州の雪の降らない地方では想像できないことです。取って味見をするとかなりの甘さとなっていました。軽くブリックスで22度を超えていると思います。中の水分がいくらか凍ったシャーベット状態で食べていて異なる触感を楽しむことができます。酸度はすでにありませんので、甘口のワインにしたら、収量もすくなく希少価値が出るワインになる可能性があります。ただし、収穫はたいへんですが。

写真1

同じく、ピノノアールの完全に取り忘れのものですが房を見つけました(写真2)。これも甘さが強調されたおいしいジュースとして味見をしました。

写真2

そして、ナイアガラの木の近くでは、完全に取り忘れられた房を発見しました(写真3)。古木の幹の太さの陰で、白い雪と異なる色を見つけ、近づいたらナイアガラの房でした。皮はとろける様に柔らかく、ジュースもおいしかったのですが、ワインとして製品化するには少し無理かなと感じました。

写真3

収穫時期の過ぎたブドウ園は面白い光景を楽しむことができます。雪の多いところでは長靴の上から膝近くまでの深さがあり、ブドウ園内を歩き回るのが大変でした。しかし、ワインの製品としての可能性も見つけることができ、得られるものもあったのはいいことでした。

 

投稿者: Tsukuba Vineyard

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です