前の車がようやっと見えるような強い風・雨の中、常磐高速を北上し磐越・三春インターで降り、一般道をくねくねと移動しながらようやっと「ふくしま農家の夢ワイン株式会社」に到着しました。9時半近くになりました。本来なら朝5時40分常磐高速千代田PAで待ち合わせをして出発することになっていたのですが、予定の時間前5時20分に千代田PAに到着して待つこと40分。仕方ないので、電話をしてみるとPA内のコンビニ(サンクス)前で待っていますよと連絡すると、茂呂農園の茂呂さんは私もコンビニ(ファミマ―)の前で待っていますよとのこと。えーつと思い、よくよく考えてみると私が待っていたのは何と同じ千代田PAの上り側PAでした。雨の降り仕切る中、歩いて下り側PAまで移動し、出発したのが朝6時。とんでもない勘違いをしてしまいました。
さて、今回はワイン用赤ブドウ(メルロー)の仕込みを見学できることになりましたので、工程を含めて説明いたします。
写真(1)はトラックからコンテナに入ったブドウをパレットの上に降ろしているところです。
コンテナには15-19Kgのブドウが入っていますので、今回は約2トンのブドウを仕込むことになります。通常なら搾汁率が80%程度なので、1600リッター程度を醸すことになります。
写真(2)は重さを計量している様子です。
一番下のポンプで皮と絞った葡萄ジュースを一緒にタンクに送るシステムでチューブの太さがわかります。この装置ですと1トンのブドウを除梗・破砕・圧送するのに約1時間必要です。足で踏み、桶で受けて肩に担いで大きな樽に移動する大昔の方法ですとこの10倍の時間と多くの労働力を必要としたことでしょう。除梗・破砕しながら葡萄液の酸化を防ぐために、写真(5)のようなタンクに入った亜硫酸を添加します。
濃度と量は基準値があります。葡萄液自体からも亜硫酸ガスは微量ながら発生しますが現在ではこの手法が一般的です。
写真(6)はブドウを除梗器に投入しているところです。
また、粒を取り外した後の梗が取り出されてくる様子が写真(7)に示されています。
今日の見学行程はここまでですが、今後以下のような作業が待っています。こうしてタンクに詰められた皮と葡萄液にはこの後酵母が添加され、いよいよアルコール発酵が始まります。その醸し液を絞るまでに約5日間前後の間、日本酒つくりと同じく櫂入れを行います。比重の軽い皮や梗が浮いて来てタンクの上部に移動してきますので、これを掻き混ぜ、酸化防止を行いながら葡萄液全体に酸素を与えることになります。この後、搾りの工程に入り、2次発酵へと移行します。ワインとして飲めるようになるのは早くても2か月後ということになります。この構造はもともと蚕糸の工場であり、桑の葉を貯蔵する設備も備わっていました。
写真(8)は地下室と斉藤社長です。
そうです地下室があるのです。製品の貯蔵、セラーとしての役割は申し分ない設備です。こんな設備がつくばにないかと探してみたい気になりました。建物自体は年数が経っていますが、構造的には十分な強度と広さを有し、しかも貯蔵のための地下室まで整備されているという念の入用です。
栽培にも多くの工夫が取り入れられ、単管のみを用いた棚式栽培の実践、誘引番線を工夫した垣根栽培の方式、雨除けの笠かけなど私にとって一番知りたかったことがすべて実践されているという胸のつかえがとれるような興奮を覚えました。シードルとワインを購入して12時過ぎにワイナリーを後にしました。
葡萄畑、栽培方法、醸造設備、保管設備と丁寧にご説明いただいた同社・社長の斉藤さまはじめスタッフの皆様に厚くお礼を申し上げます。大変勉強に、そして励みになりましたこと重ねてお礼申し上げます。