3月8日午後1時から午後4時半まで国税庁主催の上記セミナーに参加してきました。場所は品川、品川グラウンドセントラルタワー3階のホールにて北海道から九州までのワイナリー70社、一般参加者300名、報道関係者とほぼ500名近くの参加者で、座席も満席状態でした。国税庁長官のあいさつから始まり、酒税課長などによるワインの表示ルール、日本ワインの定義についての説明や国税としてのワイン関連データの紹介がありました。国税庁のHPを一度覗いてください。「本格焼酎・泡盛セミナー」などもあり、かなり積極的に関連産業の後押しをしていることがわかり、興味深いです。2月18日の水戸で開催された「いばらきワイン産業連絡協議会発会式」でも紹介されていましたが、国内で消費されるワインの3.5%しか日本ワインが消費されていないことは今後の新規参入者には追い風となることは間違いありません。ただし、このシンポでも強調されていましたが、high qualityの追求と産地におけるqualityの確保が基本となることは言うまでもないことです。招待講演は日本人(日本在住)としては世界初のMaster of Wineに認定された大橋健一さんから、世界から見たに日本ワインに関する種々の内容が紹介されました。大橋さんはもともと酒屋さんであり、流通から見た視点がかなり斬新に思えました。普通はワインのソムリエや作り手が取得するような称号と思いましたが、酒屋さんでも勉強すれば取得できる称号ということのようです。ワインに関する知識はすごいものがありました。当然のことですが。印象に残ったkey wordはReadabilityとAccessibilityです。Readabilityとはエチケット(ワインのラベル)などに表記された言葉、日本人なら漢字などは見た瞬間に理解できますが、外人は容易には理解できない、その逆で英語表記以外の言語は日本人にとっては容易に理解できない、このような状態を基礎とした海外でワイン販売するときのエチケットの表記のあり方は重要であり、その理解力をReadabilityとして表現していました。私にとってはまだまだ先の話ですが、大変興味深かったです。Accessibilityとはワイナリーへの距離感であり、tourismを絡めた消費者とワイナリーとの関係を示す言葉でした。アメリカ・ナパでのデータでは、一度ワイナリーを訪問した後再度訪問するrepeatabilityは実に60%に上るという数字が示すように、tourismを含めてワイナリーは観光地としての機能・役割を果たしていることを示しました。この観点もワイナリーには重要と思います。ブドウ畑は環境そのものであり、素晴らしい景観は訪れた人にインパクトを与えるようでなければならないとの視点です。感動を与える要因として一定以上の土地の広さが関係していることはありますが、日本でもインパクトを与える景観は十分可能です。
さて、後半からは現場で栽培や醸造を担う方々を交え、日本ワインの現状・問題点・今後の在り方などに関する座談会が催されました。面識のある方お二人がメンバーになっておりました。北海道余市・ドメーヌタカヒコの曽我さん、宮崎・都農ワイナリーの工場長・小畑さんです。お二人には、特に曽我さんには何度となくお会いして種々の教えをいただいています。現在の農場に植えているプティマンサンにしても甲州にしても曽我さんのsuggestionが利いています。ブドウ栽培からワイン醸造までこなす若き熟練職人というイメージです。座談会やそのほか、辰巳琢朗さんや石井もと子さんの話に関しては後日ご紹介いたします。参加70社のワイン展示と試飲の様子をお楽しみください。
写真(1)でチェックのブレザーを来ている人が辰巳琢朗さんです。一気に岡山県のワイナリーさんのワインを試飲していました。
写真(2)は奥のセミナー会場入り口方向から参加者が押し掛けてくる様子です。
写真(3)は都農ワイナリー小畑さんです。学生時代を私と同じく北海道で過ごされた方で、彼の海外青年協力隊の一員として活躍され、都農ワイナリーの成功への軌跡は本になっています。体は小さいのですが、情熱の塊のような人です。
試飲が始まった直後ですので、人が少ないと思うかもしれませんが、私が帰る時には身動きができないほどの混雑ぶりでした。ちなみに私は会場の写真を撮り、帰路につきました。車の運転があるためです。